…~月~…

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その日の昼 ……… …… … 「よう!親友!!!」 寝入りばなーと言っても日が昇ってからずいぶんと時間が経っているのだがーに、どかどかと無遠慮に足を鳴らして寝室に入ってきたのは、見た目も愛らしい男の子だった。輝く黄金色の髪を揺らし、ベッドサイドに飛び乗る。 「誰がー」"親友だ"と言いかけるが、突然すぎる訪問者がそれを言わせない。 「500年近い付き合いの仲じゃないか!水臭い事を言うモンじゃないよ。だいたい、こんな辺鄙な所に引っ込んでるお前が悪い!訪ねてくる物好きなんざ、俺位のモンだろ?」 一息でまくし立てられ、男はやれやれとばかりに肩をすくめる。 まったくこの男には敵わない。見た目はそれこそ10歳位の男の子のようなのに。遥か昔からの知り合いとは、どうしてこうもやり辛いのか。 「あら、アルフォート様、いらしてたんですか?」 続けて話し出そうとする少年ーアルフォートーを遮るように柔らかな女の声が割り込んだ。 声のした方へぱっと振り向き、とびきりの笑顔を向け走りだす。 「やあ!ぼくのカノコ!!久しぶりだね!まったくアイツがこんな所に君を隠してしまうものだから、滅多に来れなくて済まなかったね…会いたかったよー…………ぐえ」 カノコまであと数センチ、抱き着こうとしたアルフォートの小さな体が浮いた。 「何をする気だ?」 寸での所で首元をひっ掴み、持ち上げた男の目が完全に坐っている。 「再開の挨拶」 くりくりと碧の瞳をわずかに潤ませ、悪戯がばれた時のこどものような仕草を見せるが、男には通用する所か逆撫でするだけのようだ。 そのままぽーんとベッドへ放り投げると「ぐへあ」と蛙がつぶれたような悲鳴がした。 その様子をまるで日常茶飯事とでもいうように微笑だけを浮かべ、男の身支度の手伝いを始めるカノコだった。
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