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「正確には村に出てこなくなったらしい。元々、あまり人付き合いする方でも無かったみたいだけどね。そして、残ったのは娘と子。……どうやら異変が起こったのはこの頃かららしい。……そのうち何故か娘も村に顔を出す事も無くなり……」
「………」
死んだのか。と問おうと口を開き掛けるがその前にアルから答えが聞けた。
「男と娘が死んだかどうかは解らない。が、たぶん死んだのだろうな。…妻と子を置いて出て行く理由も無いだろう?俺たちにとって『人間』の伴侶は格別だ。それに、村人とも懇意にしていたらしい。死んだとしても丁重に葬ってくれるはずだ。」
「なるほど」
しばらくは妻である娘も村に顔を出していたはずなのだから、もし死んでいたとすれならば何かしらアクションがあってもおかしくはない。
「そして残されているハズの子供が今回の………」
子供、か。と言葉が出掛かる。
なるほど、確かにカノコには聞かせたくはない…。
「後の話はもうじき来る村長に聞いてくれ」
時計見ると昼を少し過ぎた位か。グラスに残った少しの果実酒を飲み干すと、アルは申し訳なさそうに「お前にもしんどい話なのにすまんな」と呟いた。
男は小さく首を振る。
「それが俺の『仕事』だからな」
来客を告げるベルが鳴った…。
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