偽りと裏切りと…

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「逃げられちゃったね」 『静流…』 やっぱり最近の静流は変 『てか、俺は胡蝶を信じる事にするから』 「信じる…か」 笑いながらバケツの水を道路にまいた 「ねぇ…最近、やけに 那智と胡蝶の仲がいいと思わない?」 『そうかな』 「なんとなくだけどね」 『だって、友達だから』 「友達から恋人になる可能性はゼロじゃないよ…逆に恋人から友達に戻る可能性もね」 何が言いたいんだろう 『静流…最近おかしいよ』 「そうかな」 『何かあったの?』 「仮に何かあったとしても、俺にはどうする事も出来ないしね」 『えっ?』 植木鉢の花に水をあげながら話を続けた 「愛してるって言葉は、万能薬だね」 『どういう意味?』 「どんなに喧嘩をしていても、その言葉で許してしまう…そして逆に、 嘘を隠す言葉にもなる」 『意味がわからない』 「だろうね」 何が言いたいんだろう まるで、那智と胡蝶が 嘘を隠す為に愛してるって言ってるみたいじゃん 『俺…最近の静流がわからないよ』 「俺は俺だよ…」 『那智と何かあったの?』 「さぁ…どうなんだろ」 『静流…』 バケツを重ねながら溜息をついた やっぱり何かあったんだ 「よし、帰ろう」 『うん』 なんかスッキリしない 静流よりも那智に尋ねた方がいいのかな… 「星羅?」 『あっ、うん』 店を出て、二人で家に帰る いつもは笑いながら帰るいつもの道 今日はほとんど会話が なかった そして、静流が何を考えているのかもわからなかった
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