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「星羅は?」
「寝ちゃた」
「そっか…」
「きっと、疲れてたんだね」
「そうだな」
静流と二人で
庭に出ていた
お互い、何が言いたいのかはわかっている
それは、俺達が1番
恐れていた事だから
「どう思う?」
静流が静かに尋ねる
「わからないな」
「もしかして…何かを
思い出したのかな?」
「ん~、それならもっと他の言い方をするんじゃないか?」
「そう…だよね」
「だけど、車にひかれそうになって、忘れていた記憶の一部が甦った可能性はあるよな」
「うん」
空には綺麗な満月が浮かんでいるのに
俺達の心は沈んでいた
「もし…胡蝶の事を思い出したら?」
「それは俺も考えたんだけど…」
「うん」
「星羅に残っている胡蝶の記憶は、どこまでなんだろう」
「あっ…そっか」
「きっと、胡蝶が死んだ記憶はないよな」
「……多分」
なければ無い方がいいはずなのに、
それは余計に星羅を苦しめるような気がしてならなかった
胡蝶は本当に生き返ったのだろうか?
星羅と二人で目の前に現れた時は、確かに奇跡だと思った
だけど胡蝶は何かを隠している
星羅や俺達に言えないような何かを…
それがわからない限り、
俺達は苦しまなければ
いけないのかも知れない
星羅の記憶が戻る前に、
胡蝶の秘密を知る必要がある
記憶が戻るとは限らないけど、どうしても知っておかなければいけないような気がしたんだ
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