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雨は降り続いていた
窓ガラスを伝う透明な雫
不規則に伝い落ちる雫を
ただ、見つめていた
星羅は今日も行くのだろうか?
胡蝶は傘に気付いただろうか?
気になって落ち着かない
そっとベットを抜け出し、リビングに向かう
『那智…大丈夫?』
やはり星羅は起きていた
そりゃ、8時に寝れば
当たり前か…
「雨でも行くのか?」
『うん…だって、やっぱり逢いたいから』
「そっか」
『俺、もう何も言わない…』
「えっ?」
『だって、今のままなら
毎日胡蝶に逢えるから…それに、愛してるって
言ってくれた胡蝶を信じたいから』
「そうだな」
『俺達みたいな関係はなんだろう…恋人以上恋人未満?』
「おかしくないか?」
『いいの!俺が勝手に
思ってるだけなんだから』
「そっか」
『あっ、じゃ行くね』
「ああ」
星羅は白いレインコートを着ていた
とてもよく似合う
白いレインコートに
赤い傘
まるで花束みたいだな
花畑に向かう星羅が見えなくなるまで、じっと
後ろ姿を見つめていた
「恋人以上恋人未満か…」
何となく悲しいな
お互い愛し合っているのに恋人とは言えない関係か…
だけど、きっと星羅は
また悩むよな
やっぱり恋人がいいっ!とかごねだすかも知れないし…
う~ん…
考える事が多すぎて
頭がやたらと重いような感じがしてきた…
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