嘘と真実と…

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「星羅は嬉しそうだな」 「ああ…そうだ、傘ありがとう」 「気付いたみたいだな」 「まぁね」 「びしょ濡れじゃ、余りにも不自然だしな」 「確かに」 二人で居るには静か過ぎる部屋 雨音だけが響き渡る 「安心しろ…」 「えっ?」 「誰にも言うつもりはないから」 「そっか」 「だからさ…」 「うん」 「なるべく星羅の傍に居てやってくれ」 「那智…」 「毎日お前が星羅を起こしに来いよ」 「起こしに…」 「それからみんなで一緒に朝食を食べて、時間が許す限り……店に居ろ」 「だけど」 「いいから…頼むよ」 「那智…」 「夜は仕事があるとかなんとか言ってさ…ごまかせ…俺も一緒にごまかしてやるよ」 「だけど、そんな事を 言ったら俺はいつ寝る事になるんだろうな」 「あっ…まぁ大丈夫だ」 「わかったよ」 俺は何故か胡蝶の味方になっていた ばれたらどうしようなんて、考えてもいなかった だって…朝しか会えない 恋人同士なんて…… 耐えられないだろ? 「ところでさ…」 「ん?」 「もし、花畑以外の所で太陽が沈んでしまったらどうなるんだ?」 「それはわからないな…気付いた時はあの花畑に居たしね」 「そっか…」 「だから、夜になる前にあそこに戻らなければいけない気がして……」 「戻ったら体が消えた訳か」 「そういう事」 「でも、夏は少し遅くまで居られるな」 「そのかわり冬は短い」 「そっか…」 プラマイゼロって事か 「ただいま」 『ただいま~』 二人が帰ってきた 「じゃ、そうしてやれよな」 「わかったよ」 「雨がひどくなってきたよ」 「そうか」 『胡蝶、すぐ作るからね』 「星羅」 『ん?』 立ち上がり、星羅の額に手をあてた 「やっぱり熱が」 「えっ…」 『大丈夫!』 「大丈夫じゃないだろ」 『胡蝶…』 「星羅、おとなしく寝てろ」 『那智~』 「胡蝶、星羅の部屋は2階だ」 「わかった」 星羅を連れて2階に向かう 「さすがだな」 「うん…」 星羅の体調をすぐに見抜くなんて… やっぱり胡蝶なんだ
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