嘘と真実と…

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「ほら、パジャマに着替えて」 『うん』 やはり星羅は無理をしていたみたいだ もう少し早く気付いてやれればよかった 部屋に入った途端、 ぐったりする星羅 「脱がすよ」 『うん』 手早く脱がしてパジャマに着替えさせた 「可愛いネコちゃんパジャマ」 『でしょ』 「うん…ベットに入って」 『胡蝶…』 「大丈夫、ちゃんと星羅の傍にいるよ」 『あのね…』 「ん?」 『隣に寝て?』 少し震えながら言った 震えているのは、 寒いから? 「わかった」 星羅の隣に横になる 『ねぇ…』 「ん?」 『手を…繋いでもいい』 星羅…お前… 「わかった」 そっと手を繋ぐ 『やっぱり腕枕して?』 星羅… その言葉を聞くのは 二回目 一回目は…俺達が知り合った時 やはり記憶を無くしても どこかに埋もれた記憶があるのか? 「はい、これでいい?」 腕の中にすっぽり入ってしまう 『やっぱりここが1番好き…』 「星羅…」 そして腕の中で笑いながら眠りに落ちた 懐かしい感覚が甦る 昔は毎日、当たり前の様に腕枕をしていた もう、二度と出来ないと 諦めていたのに 今、腕の中にいるのは 星羅 柔らかい髪に触れる 夢ではない 確かにここに居る そっと抱きしめていたら、涙が溢れて零れ落ちた 俺は涙でぼやけた 月のピアスをただ、 見つめていた
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