嘘と真実と…

12/17
前へ
/149ページ
次へ
星羅が眠ったので、ベットを降りようとして苦笑した 「わかったよ」 星羅の手は俺の服をしっかり掴んでいた その手をにぎりしめながら、天井を見つめる 那智の言葉には正直驚いた 俺はまた、みんなと一緒に居られるのか? 夜は無理だけれど 昼間は星羅と一緒に居られる また、昔のように 花に囲まれて仕事が出来るのか… 『胡蝶…』 「どうした?」 『よかった…また消えちゃうんじゃないかと』 「星羅…大丈夫だよ 時間が許す限り、お前の傍にいる」 『ほんと?』 「ああ」 『嬉しいっ!』 笑顔で抱き着いてきた 「星羅…」 『もう…熱は下がったよ』 「よかった」 『ありがとう』 体を起こそうとした時、 シャツを掴まれた 「どうした?」 『胡蝶は…俺の事好き?』 「ああ、好きだよ」 『じゃ…愛してる?』 「愛してるよ」 『愛してるのに、何も しないの?』 「お前はまだ熱が下がったばかりだろ」 『だけど…だけど言葉だけじゃ不安なんだ…』 「こんなに愛しているのに?」 『でも…俺は胡蝶の恋人じゃない』 「星羅…」 参ったな… こんなに星羅を愛しているのに この気持ちを伝える術がないなんて… 言葉だけではダメなのか だけど…これ以上星羅を求めてしまうと 離れるのが辛くなるから… 『胡蝶…』 「星羅はどうして欲しいの?俺に何を求めている?」 『もっと抱きしめて欲しいよ…』 「抱きしめてあげるよ」 『たくさんキスして欲しいよ』 「してあげるよ…」 星羅を抱き寄せて そっとキスをした だけど… それ以上は聞けなかった
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2271人が本棚に入れています
本棚に追加