2271人が本棚に入れています
本棚に追加
「胡蝶、食事持って来たけど」
いいタイミングで静流がやってきた
そっとベットを降りて、
ドアを開ける
「星羅は?」
「大丈夫だ」
「そっか…よかった」
「ありがとう」
「じゃ、行くね」
「ああ」
トレーを受け取り、
テーブルの上に乗せた
「少しでも食べろよ」
『……うん』
話の途中だったので
星羅は不満そうな顔をしていた
「そんな顔しないの」
『だって…』
スプーンでスープをすくい、口元に持っていく
「はい」
『うん』
零さないように
口に運びながら尋ねる
「星羅の得意料理は何?」
『ん~、和食は結構得意』
「いいね~、俺も好き」
『ホント?』
「ホントだよ」
話をしながら、スープを飲ませる
『じゃさ、胡蝶は何の花が好き?』
「花かぁ…ん~」
『紫陽花でしょ?』
「えっ?」
『ごめん、何となく』
「紫陽花も好きだよ」
一瞬、紫陽花と言われて焦る
確かに1番好きな花だから
星羅と生活していた時、
紫陽花の鉢植えがあった
まさか……だよな
「星羅は?」
『俺はね~、ラフレシア』
「えっ…」
『匂いだけ嗅いでみたくない?』
「ん~」
『でもホントは月見草』
「えっ?」
『よくわからないけど、最近好きになったんだ…静流が育ててるからかも』
「そっか」
『うん』
「月見草の花言葉知ってる?」
『花言葉?』
「花にはいろいろな花言葉があるだろ?」
『うん』
「もし、プロポーズする為に黄色い薔薇の花束を買いに来たらとめないとね」
『どうして?』
「クスッ」
『あ~、もう!』
「ほら、もう少し食べて」
『うん…ねぇ…』
「ん?」
『俺と胡蝶ってさ』
「うん」
『何となく顔が似てるよね…嬉しいかも』
(ガシャン)
『胡蝶?』
「あっ、ごめん」
思わずスプーンを落としてしまった
何気ない一言に
まだこんなにも動揺する俺がいた
最初のコメントを投稿しよう!