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そろそろ夕暮れが近付いてきた
「星羅、そろそろ行くね」
『………うん』
俯きながら返事をする
「明日からは、俺がここに来るよ」
『えっ?』
「一緒には生活出来ないけど、時間が許す限り、星羅の傍にいる」
『ホント?』
「ああ…だから早く元気になって、手料理を食べさせてね」
『うんっ!』
「じゃ、また明日」
『気をつけてね』
星羅の頭を撫で、部屋を出た
「那智…」
廊下に那智が立っていた
「ごめん…もし寝てたらヤバイかと思って」
「サンキュー」
「送るよ」
「それも何だか変な感じだな」
「まぁな~」
笑いながら、リビングに
向かう
「胡蝶を途中まで送ってくるよ」
「わかった…」
「また明日」
「うん…また」
家を出たら、雨はあがっていた
「明日はいい天気になりそうだ」
空を見ながら那智が言った
「そうだな」
「どうかしたのか?」
やっぱり気付かれてしまった
「星羅がさ…」
「うん」
「俺と星羅の顔が似てるってさ」
「えっ…まさか」
「記憶は戻っていないみたいだ」
「そっか…」
「かなり焦ったよ」
「だろうな」
「今は兄弟じゃないかも知れないけど、やっぱり俺の中には弟の星羅が
居るんだよな…昔はあれ程兄弟である事を呪っていたのに勝手だな」
「胡蝶…」
容赦なく太陽は姿を消していく
「また明日行くよ」
「ああ…」
「星羅を頼む」
「大丈夫だ」
そう言いながら、胡蝶は消えた
「やっぱりまだ目の前で消えられると焦るぞ?」
笑いながら月見草に話し掛ける
「嘘……」
家の鍵を渡そうと思って、二人の後を追い掛けた
やっと追い付いて、声をかけようとしたら
胡蝶が消えた
だけど、那智は笑っていた
「どういう事?」
混乱したまま、家に戻り、水を喉に流し込む
「那智は何を隠しているの…?」
まだ心臓がドキドキしていた
どうしたらいいんだろう
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