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那智が出て行ったのを
確認して、鍋の火を止め、エプロンを外した
最初から那智が話してくれる事は期待していなかった
すごく寂しいけど、
やはり話す気はなさそうだ
だったら、自分で確かめるしかない
玄関を出て、後をつける
「寒っ…」
上着を持ってくればよかった
「あっ…」
那智が花畑に居た
休んでる訳ではなさそう
もう少し近付きたいけど、隠れる場所がない
薄暗くてよく見えないけど、確かに那智は居る
しばらく待ち、太陽が
ゆっくり顔を出す
「眩しい…」
思わず目を閉じた
「えっ?」
那智の隣には胡蝶
いつの間に?
前と全く同じ
一瞬で胡蝶が現れた
どこから?
空?地面?
「あっ…」
二人が笑いながら、
こっちにやってきた
慌てて木の後ろに隠れて
二人が通り過ぎるのを待つ
「星羅はまだ寝てるよ」
「じゃ、隣に寝ようかな」
「めちゃくちゃびっくりするんじゃない?」
「だろうね」
那智は全く普通に会話していた
胡蝶もそう…
そして、俺と星羅だけが知らない秘密が二人にはある
家に戻ると二人が言った
「いないからびっくりしたよ」
「静流、おはよう」
「ごめん…裏にネギを取りに行ってた」
「そっか」
「じゃ、星羅を起こして来るよ」
「ああ」
胡蝶が二階に向かった
俺はキッチンに向かう
那智と話はしたくなかった
だけど、いつまでもこんな状態は耐えられないよ
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