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今日は配達がやたら多い
「胡蝶、悪いけど配達
手伝って?」
「わかった」
『あ~、那智のアホ!』
言うと思った…
「すぐ戻るから、少しだけ胡蝶を借りるよ」
『早く帰ってきてね』
「はいはい」
『胡蝶をこき使わないでね』
「わかったわかった」
『胡蝶、棘で怪我しないでね』
「大丈夫だよ」
「じゃ、行ってくる」
『行ってらっしゃい』
那智と胡蝶が二人で
出て行った
『つまんないの…』
「すぐ戻るよ」
『うん』
静流は月見草の鉢に水をあげながら言った
『そういえば…那智と
喧嘩してるの?』
「何故?」
『だって…全く会話してないんじゃない?』
「そうかな…那智は俺より胡蝶と二人の方が楽しいのかもね」
『静流…』
鉢をテーブルの上に置き、ジョウロで店先に水を撒く静流
俺は、水でキラキラ光る月見草を見つめながら考える
やっぱり何となくおかしい
静流が店に戻ってきた
「星羅…胡蝶が戻ってきたら、どこに住んでいるのか尋ねてみたら?」
『えっ?』
「おかしいと思わない?」
『何が?』
「だって、もし夜仕事をしているのならどこで?この町には深夜に営業してる店なんかないんじゃないかな」
『そうだけど…家で仕事しているのかも知れないし』
「じゃ、いつ寝てるの?胡蝶は毎朝あの花畑に
いるよね」
『それは…』
「今日、胡蝶に着いて行ったら?」
『ダメだよ』
「何故?」
『何故って…それは』
「ダメな理由なんかないでしょ?それに…星羅も知りたいよね?」
『それは…』
確かに知りたい
だけど、勝手に着いて行く事なんて出来ないよ
「星羅…ねっ?」
『わかった…聞いてみるよ』
「もし断られたら、後をつけてみたら?」
『静流…』
「それぐらい知っててもバチは当たらないよね?」
そうだけど…
急にどうしたんだろ?
今まで、そんな事言った事なんてなかったのに…
何となく静流の目が
怖かった…
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