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「助かったよ」
運転する那智に言った
「いいよ、でもかなり焦ったよな」
「秘密があるのかって星羅に聞かれた時、マジで心臓がとまりそうだった」
「いや~、気付いてよかった」
那智は笑う
「でも、よくわかったね」
「ああ…静流がじっと
二人を見てたからさ」
「そっか」
「それで気付いた訳さ」
「だけど、星羅にホントは恋人が居るんじゃないかって言われた時は、
力が抜けたよ」
「凄い勘違いだな」
「まぁな」
花畑に着き、胡蝶が降りた
「じゃ、また明日な」
「ああ」
「もう確かめる必要もないから帰るぞ」
「確かにな」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
遠ざかる車を見つめていたら、堪らなく寂しくなった
俺だって…一緒に帰りたいよ
星羅を抱きしめて、朝まで眠りたいよ
星羅と一緒に居れば居る程辛くなる
叶わない夢を叶えてくれと、月に祈る
「だけど…これが現実…」
太陽が沈み、体が消えて行く
そう…
これが悲しい現実なんだ
手の平を見つめながら、
寂しく笑う
俺達は月の下で知り合ったのに、今は月の下で逢う事も出来ない
だから今日も月を見上げる
叶わない夢を叶えて欲しいと月に祈りながら…
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