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静流はふと足をとめて、花畑を見ていた
『どうしたの?』
「前にね…」
『うん』
「やっぱりいいや」
『何だよ…言いかけてやめるとか』
「ごめんね、帰ろう」
『もう』
変なの…
前にって、みんなで来た時の事かな?
『月がおっきい』
「ホントだ」
『でも、大きすぎてなんだか怖いね』
「そうだね…狼男になったらどうする?」
『やめてよ~』
やっぱり変だよ…
冗談に聞こえないしさ
『帰ろうよ』
「星羅…」
『どうしたの?』
「星羅を壊せば、胡蝶はどうするかな……」
『静流…何言ってるの?』
月明かりを浴びた静流が、すごく怖かった
『……静流』
「星羅」
突然、押し倒された
『ちょっと、静流!』
「暴れるなよ」
『やめて!静流ってば』
手を押さえ付けながら、
シャツをめくられた
『静流!やめてっ!』
舌が胸元をはい回る
『いやだっ!静流っ!』
首筋に舌を這わせながら
指で胸元を刺激する
『いやっ…やめてっ!』
何が起きたの?
俺の上にいるのは誰?
『やめろっ!』
ありったけの力で、静流を突き飛ばした
『ハァハァ…グスッ…』
そしてそのまま走って
家に帰り、部屋に閉じこもり鍵を閉めた
『どうして…?』
訳わかんないよ…
なんであんな事したんだよ…
静流には那智がいるし、
俺には胡蝶がいるのに
『何でだよ…っ』
悲しくて涙が溢れた
怖くて体が震えた
明日からどうすれば
いいんだよ…
布団を頭までかぶり、
震えながら泣いた
俺達は家族じゃないのかよ…
那智にも胡蝶にも言えないよ…
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