偽りと裏切りと…

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「星羅?どうした~」 那智がやってきた どうしよう… でもこのままじゃ心配するよね 涙を拭いて、鍵を開けた 『ごめんね』 「お前、泣いてたのか?」 『んっ?夢中で本読んでた』 「……そっか」 こんな嘘しか出なかった だけど那智には絶対言えない 「食事だぞ」 『ごめん…食欲ないんだ』 「星羅…ちょっといいか?」 『うん』 暗い部屋に入り、ベットに腰掛けた 「何があった?」 『えっ?』 「こんな暗い部屋で読書はないだろ」 『あっ…あは…』 「星羅」 『ごめっ…グスッ…』 「言いたくない…か」 『グスッ…ごめんなさい』 「仕方ないな…」 そう言って頭を撫でた 『いやっ!』 思わず手を叩いてしまった 「星羅…」 『あっ、ごめん』 「お前…」 『なんでもないんだ… ちょっとびっくりしただけ』 「じゃ、そのキスマークは何だ」 『えっ!』 慌てて首筋を隠した 「嘘だよ」 『那智…』 「誰に何をされたんだ」 『なんでもないんだ』 「胡蝶じゃないよな」 『それは…』 「わかった…静流に聞くよ」 『やめてっ!』 しまった… 「お前…まさか」 『静流には言わないで…お願い…』 「何を言われたんだ」 那智の顔が怖くて見る事が出来なかった だけど、もうごまかせない 『最近…静流の様子がおかしいんだ…』 「おかしい?」 『うん…何だか那智と胡蝶が仲がいいとか、胡蝶の家を教えてもらえとか…俺もよくわかんなくて…そしたら…グスッ…さっき…花畑で…グスッ…いきなり……でも俺、突き飛ばして逃げたんだ』 「そうか…辛かったな」 そう言って抱きしめてくれた 『お願い…静流を怒らないで…きっと何かあったんだよ』 「ああ…星羅がそう言うなら」 『うん』 「今日はもう寝ろ」 『わかった』 「無理かも知れないけど、早く忘れてしまえ」 『うん…おやすみ』 だけど、那智の表情は まだ怖かった 喧嘩したりしないよね? 嫌だよ…みんながバラバラになるのは嫌なんだ
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