偽りと裏切りと…

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静流はキッチンに居た 「星羅は寝たよ」 「そう」 無表情で返事をする 「心配じゃないの?」 「もうすぐ出来るから」 「ちょっと来い」 「今?」 「ああ」 「わかった」 静流を連れて、家を出た 「どこに?」 「星羅に見られない場所までだ」 「何故?」 歩いていた足を止めて、 静流に言った 「何故?それはお前が1番わかってるだろ」 「なんだ…星羅が泣きついたの?」 「俺がかまをかけたんだよ」 「そう」 「星羅はずっとお前をかばっていたよ」 「冗談なのに」 「てめぇ…ふざけるなよ?」 「ふざけてないよ」 「だったらどうして?」 「クスッ」 「何だよ」 「そんなに心配だったら、胡蝶に一緒に住んでもらえば?」 「だから胡蝶は…」 「仕事があるから?まさかね…こんな田舎町で、深夜働くような場所はないよ」 「静流…」 「那智は知ってるんだろ?」 「何をだ」 「胡蝶が夜、何をしているのか」 月明かりに照らされた 静流の顔は笑ってはいない 逆に恐ろしい程美しかった 「知る訳ないだろ」 「わかった…それならそれでいい」 「お前…」 「那智…俺はそんなに信用出来ない?」 「えっ…」 「不安なんだよ…お前だって胡蝶の事が好きだったから」 「何言ってるんだ」 「ホントは明日、星羅が胡蝶に泣き付くのを待っていたのに…それでも 胡蝶が夜は無理だと言うのなら…お前との仲を疑うしかなくなるだろ?」 「馬鹿だな…」 静流を抱きしめながら 言った 「わかったよ…だけど 俺の口からは言えないんだ…明日胡蝶に聞いてみるから…俺を信じて待ってろ」 「那智…」 「俺が愛してるのはお前だけだよ」 「……ごめん」 「それは星羅に言え」 「許してくれないかも」 「だったら星羅に殴られるんだな」 「うん」 まさかそんな勘違いを されていたとは… やはり、静流に内緒にするのは少しきつくなってきたな…image=257541610.jpg
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