偽りと裏切りと…

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大きな月に背中を向けながら、手を繋いで家に帰る 「那智…」 静流は帰り道、ずっと 自分を責めていた 「大丈夫だよ」 家に帰り、玄関の鍵を そっとしめる 「ちょっと待ってろ」 「うん」 もう一度、星羅の部屋に 向かう 「星羅、ごめん…」 『うん』 やはり寝てはいなかった そっと部屋に入り、星羅に言った 「ごめんな…」 『えっ?』 「静流が全て話してくれたよ」 『話したの?』 「いや…他の話からたまたまだ」 『うん』 「静流をかばうつもりはないよ…あいつは、俺と胡蝶の仲を疑っていたんだ」 『えっ?』 「俺、そういう所はうといからさ…全然静流の気持ちを考えてやれなかったんだ」 『うん』 「俺は胡蝶をそんな風に考えてもいないしな」 『わかってる』 「静流は誰にも言えずに、おかしくなりかけてたのかもな…」 『那智…』 「だから今回の事は俺にも責任があるんだ…… 本当にすまない」 『もういいんだ』 「いや…よくないよ… 俺は家族が壊れるのは 嫌なんだ」 『那智…俺だって嫌だよ』 「静流が謝りたいって…嫌ならそう言ってくるけど」 『わかった…下に行くよ』 そう言って、星羅は立ち上がった 「無理しなくてもいいぞ」 『大丈夫』 二人で部屋を出て、 静流の待つリビングに 向かった 「星羅…ごめんなさい」 『嫌だね、許さない』 「うん…わかってる… 許されないような事をしたんだから」 『そうだよ!あの服は お気に入りだったんだ…だからちゃんとボタン つけてよね』 「えっ…」 『はぁ~、お腹空いた』 「だな、静流ご飯は?」 「あっ…うん」 『たまには那智も手伝えば?』 「はいはい」 笑いながらキッチンへ 向かう 泣いている静流を抱きしめるのは那智の仕事だからね… 当分、ご飯は食べられそうにないな…
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