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『いい天気』
手をかざしながら
空を見る
胡蝶はちゃんと
来てくれるかな?
あっ…寝癖で髪が立ってる
手で押さえながら
寝癖を直す
服は変じゃないかな…
まるで今からデートでもするみたい
花畑に着き、胡蝶を捜す
『まだ来てないのかな』
目を凝らしながら
胡蝶を捜す
『あっ…』
胡蝶は寝転がりながら
空を見つめていた
『見つけた!』
「星羅…おはよう」
『おはよっ!』
隣に座り、顔を見つめた
『いないかと思った』
「約束したろ?」
『うん』
体を起こしながら笑う
どうしよ…
何を話せばいいのか
わからない
話したい事や
聞きたい事は
たくさんあったはずなのに
「どうした?」
『うん…』
意識しすぎて
余計に話が出来ない
『昨日はどこに泊まったの?』
「駅の近くのホテルだよ」
『一人で?』
「クスッ…誰と泊まるの?」
『そっか』
何言ってるんだろ俺…
無意識に花を摘み
冠をつくる
「相変わらず器用だな」
『あっ…つい』
えっ?
相変わらずって…
『はい、蝶の王子様』
「蝶か…」
『だけど、ヒラヒラ飛んで行かないでね?』
「何故?」
『何故って…』
だって…胡蝶が好きだから
なんて言えないよ
『あっ、アゲハ蝶!』
恥ずかしくて
話をそらしながら立ち上がる
『うわっ…』
足がしびれてた…
「大丈夫?」
『ありがとう…』
って…
この体制は…
俺、胡蝶に抱き着いてる
「気をつけてね」
『うん』
そっと体を離しながら
胡蝶を見つめた
「ん?」
『ううん…』
胡蝶の体から
懐かしい匂いがした
何だろう
すごく懐かしい…
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