偽りと裏切りと…

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朝食を食べ終わり、 店に行く準備も出来た 「よし、行くか」 「うん」 『胡蝶、行こっ』 「ああ」 みんなで家を出て、店に向かう 『んふっ』 「クスッ」 星羅は手を繋ぎながら 嬉しそうに笑う 俺はその手を握りしめた 『胡蝶の手は大きいね』 「星羅が小さすぎるんじゃない?」 『ひどっ!』 「冗談だよ」 『もう!』 そんなたわいのない話をしながら歩く こんな幸せもあるんだな…と星羅を見つめる 『ん?』 「何でもないよ」 『顔に何かついてるのかと思った』 「星羅が可愛いから見てただけ」 『胡蝶…』 「ほら、いちゃついてないで早く来いよ」 那智が笑いながら声をかける 『あはっ』 「急ごう」 少し小走りまじりで歩き、那智達に追い付く 「星羅、今日はホテルの仕事だったよな」 『うん』 「胡蝶と行くのか?」 『そうしたいけど…』 星羅は遠慮がちに言った 「いいよ、アシスタントぐらいしか出来ないけど」 『ホント?』 「ああ」 「星羅、コキ使ってやれ」 『やだな~、那智』 「マジで!きっと胡蝶なら出来るさ」 『あははっ…』 う~ん… わざと素人のふりをした方がいいのかな… 『嬉しいな…胡蝶と一緒に仕事が出来るなんて』 「俺も嬉しいよ」 ホントに嬉しいんだ それは嘘じゃない 店に着き、花を選びながら準備をする 俺はそれを黙って見つめていた 『ん~』 「どうした?」 『何かが足りないな…』 確かに足りない 「星羅、あれは?」 わざと名前を言わずに 指をさした 『あっ、スイトピー』 「いろんな色があるね」 『うん、これにする』 「わかった」 『ありがとう胡蝶』 「ん?何もしてないよ」 わざとはぐらかしながら、花束を抱えた 「よし、行こう」 『うん』 久しぶりに星羅の活ける花を見ることが出来る ホントに夢のようだな
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