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星羅は花を活けている時の顔が1番いい
『胡蝶、やっぱりスイトピーは正解だね』
「みたいだね」
『じゃ、向こうを活けてくる』
「わかった」
しばらく星羅の活けた花を見つめる
星羅ならもっとその腕をいかせる場所があるはずでは…?
なんて考えてしまった
そして凄く寂しくなる
星羅はどこにでも行けるが、俺は?
ここを離れても消えずに済むのだろうか…
ダメだな
都会には土がない
そして綺麗な空気もない
『胡蝶?』
「ああ…」
『終わったよ』
「お疲れ様」
『何だかそんなにじっと見られると恥ずかしいな』
「何故?」
『何となく』
「クスッ…じゃ、帰ろうか」
『うん』
ホテルを出ようとした時、支配人らしき人物に
呼び止められた
「星羅くん!」
『あっ、はい』
「いつもありがとう」
『いえ』
「お礼と言うのもなんだが…明日上のレストランが改装オープンなんだ」
『そうなんですか』
「それでどうだろう、
二人でディナーに招待したいんだが」
『ディナー…夜ですか?』
「ああ、どうかな?」
『あっ…えっと』
星羅は行きたそうだが、
俺に気を使っているみたいだった
「ああ、すまない…二人ではなく四人だったね」
『ええ…』
「とりあえず招待状を渡しておくから、是非来てくれよ」
『ありがとうございます』
招待状を受け取り、
無言で店に戻った
「お疲れ~、ん?」
「星羅、どうしたの?」
『うん…』
「実はさ、明日オープンするレストランにみんな招待されたんだ」
「レストラン?」
「ああ、確か改装してたね」
「俺は行けないけど、
みんなで行くといいよ」
『胡蝶…』
「ごめんね…明日はどうしても仕事が」
『わかってる……』
「今は不況だし仕事も休めないよな」
那智が気をきかせてくれた
『わかってる…わかってるけど…』
泣きそうな星羅
「星羅、俺達とじゃ不満?」
『ううん…』
「胡蝶の気持ちもわかってやれ」
『ごめん…』
泣きたいのは俺の方
星羅は何も悪くはないんだ…
当たり前の事を考えているだけなんだから
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