微笑みと涙と…

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そっと唇を離しながら言った 「ずっとこうしていたいけど、そろそろ出掛けよう」 『ん?』 「ランチをね」 『ランチ?』 「昨日、付き合えなかったからランチに行こう」 『ホント?』 「ああ」 『わかった、すぐ用意するね』 ベットから跳び起き、 シャワーを浴びに行く 「なんて刺激的な姿…」 苦笑しながらリビングに向かう 那智と静流は出掛けたみたいだな 部屋に置いてあるグラスやソファーは、昔のまま 記憶が鮮明に残っているのはラッキーな事なのか…? 家が変わっても、 家具はそのままだった まるで、今でも一緒に 生活しているような錯覚さえ…… 『お待たせ』 「行こうか」 星羅の服も見覚えがある 俺が1番好きだった服 『ん?』 「よく似合うよ」 『ありがとう』 嬉しそうに笑う そんな星羅を抱きしめながら、ホテルに向かった 『夜はね、綺麗なんだけど、何となく寂しかった』 「そっか」 『どうしてかな…綺麗な夜景を見ても寂しくて』 「確かにここは田舎だしね……と言う事にしておこう」 『クスッ…うん』 レストランに入り、 窓際に座る 『店が見える』 「バケツが」 『あっ…しまい忘れてる』 「帰りにしまえばいい」 『うん』 二人でランチを食べながら、いろんな話をする だけど、その会話の中に、昔の俺達の話は出て来ない 記憶を無くしているんだから当たり前なんだけど、何となく寂しかった 『どうしたの?』 「ん?星羅を見てた」 『やだなぁ~、もう』 照れながら、デザートを食べる星羅 今日の出来事は 来年も覚えていてくれるだろうか…… また、笑いながら今日の出来事を、話せる日が 来るのだろうか……
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