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「どうした?」
『ううん…ごめん』
懐かしい匂いはこの花畑の匂いかな…
『ねぇ…やっぱり一緒に住むのは嫌?』
「ごめんね…もう少し考えさせて」
『わかった』
ホテルに宿泊するくらいなら、家に来ればいいのにな…
『そういえば、何故このピアスを持ってたの?』
「どうしてかな」
『もう…胡蝶は秘密だらけだね』
「そうかな」
『そうだよ…』
「ごめんね」
『別にいいけどさ…
何だか少し寂しいかな』
「星羅…」
胡蝶は自分の事を話してくれない
わかっているのは名前だけ
どんな仕事をしていて、
どこに住んでいるのか、全く教えてはくれなかった
だけど仕方ないよね…
まだ信用されてないのかも知れないし
『はぁ…』
「星羅、眼の具合はどう?」
『眼?』
「いや…何でもない」
変な胡蝶
眼の具合ってなんの話だろ?
「星羅~!」
『あっ、那智達だ』
笑いながら手を振った
「幸せそうだね」
『うん…幸せだよ』
「そう…よかった」
やっぱり変な胡蝶
「お弁当作ってきたよ」
『ありがとう…お腹ペコペコ』
「胡蝶もどうぞ」
「ありがとう」
だけどお弁当には全く手をつけなかった
『お腹空いてないの?』
「ごめんね」
『ううん、いいんだけど…』
何となく胡蝶の顔に、
暗い影が見えたような気がした
いつかは話してくれる日が来るのかな…
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