錆びない指輪

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―私は弱い子だから、先に予防線張るんだ…邪魔ならそう言ってね、って。 そう言って少し笑った美湖の顔がすごく辛そうで、私は直視できなかった。 こんな簡単に話せるようになるまで、どれだけ美湖の中で葛藤があっただろう。 気付いたら私は美湖を引き寄せ、抱きしめていた。 ―辛かったね…。 ―…だから、私、贈り物苦手なんだ。身に付けるものが一番苦手。束縛を示しているようで。 それを聞いて、私は美湖には指輪は贈られないなと考えたのを覚えている。
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