錆びない指輪

12/12
前へ
/375ページ
次へ
その日の夜。 私と美湖は部屋の明かりを消し、箱を取り出して、テーブルに並べた。 リボンを解き、相手の薬指にはめる。 すごく厳かな気分。 「ねぇ美湖、私で良かった?」 「何が?」 「指輪をあげる相手。」 「私は、梨良にあげたかった。梨良は一緒にいることと束縛することの違いを教えてくれた。梨良のおかげで私は…慶子を乗り越えられた、ありがとね。」 そう言って美湖は私にキスをしてきた。 そのまま体を重ねた私達は、薬指に指輪をはめたまま眠った。 いつまでも錆びない指輪をはめて。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加