甘いのがいい

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「美朝、また来てるよ。あの子。」 友達が教室の後方のドアを指差す。 私はその顔を認めて、小さな溜め息をついた。 「…ありがと。」 そう答えて、私はドアへと歩み寄る。 にこにこ顔のこにくらしい…かわいい彼女のところへ。 「先輩、一緒に帰りましょ?」 首を傾げながら尋ねてくる。 いい加減見飽きている顔だけど。 ついさっきの休み時間に会ったけど。 …やっぱりかわいい。 でも正直になれない私だから。 ついつい、ぶっきらぼうな態度をとってしまう。 「…いいけど。」 すると彼女は満面の笑みを浮かべる。 本当にコロコロと表情が変わる。 「じゃあホームルーム終わったら迎え来ますね!」 そう言って廊下を駆け出し、自分の教室に帰って行った。
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