甘いのがいい

3/10
前へ
/375ページ
次へ
ドアから顔を出し、後ろ姿が見えなくなるまで見送る。 角を曲がり、見えなくなった。 と思った瞬間、また顔を覗かせ手を振る。 たったそれだけなのに、私は嬉しくなる。 …大きく振り返すなんてできないから、軽く手を上げるだけだけど。 それでも、遠目でも分かるぐらい、あっちで笑顔を浮かべる。 そして今度こそ消えた。 「はぁ…。」 溜め息が出る。 彼女、沙耶香と会う度に考える。 『素直になれない自分』 沙耶香のことはすごくすごく好き。 普通のカップルみたいに、手をつないだり、喜ぶ言葉をかけたり、いちゃいちゃしたい。 でも… できない。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加