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ドアから顔を出し、後ろ姿が見えなくなるまで見送る。
角を曲がり、見えなくなった。
と思った瞬間、また顔を覗かせ手を振る。
たったそれだけなのに、私は嬉しくなる。
…大きく振り返すなんてできないから、軽く手を上げるだけだけど。
それでも、遠目でも分かるぐらい、あっちで笑顔を浮かべる。
そして今度こそ消えた。
「はぁ…。」
溜め息が出る。
彼女、沙耶香と会う度に考える。
『素直になれない自分』
沙耶香のことはすごくすごく好き。
普通のカップルみたいに、手をつないだり、喜ぶ言葉をかけたり、いちゃいちゃしたい。
でも…
できない。
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