3153人が本棚に入れています
本棚に追加
二人で並んで歩く。
肩が少し触れ合う距離。
ドキドキする。
「ねぇ先輩。」
歩きながら沙耶香が話し掛けてきた。
「何?」
私は沙耶香の視線を感じつつも、目を合わせずにいた。
「私…邪魔ですか?」
明るい声とは裏腹の、重い一言。
私は耳を疑った。
「邪魔…?」
「はい。」
顔を上げて沙耶香を見る。
声は強がっていたけど、顔はくしゃっと歪んでいて。
すごく辛そうな表情だった。
「どうして…?」
「だって先輩、あんまり楽しそうじゃないから。」
温い風が吹き付ける。
木々が僅かに葉を揺らす。
不意に沙耶香が右に曲がった。
最初のコメントを投稿しよう!