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「沙耶香…?」
呼び止める声を無視して、沙耶香はずんずん歩いて行く。
私は小走りで後を追う。
「沙耶香っ」
ずんずん歩く沙耶香。
必死に追い掛ける私。
するとまた不意に沙耶香は立ち止まった。
ぶつかる寸前で止まり、腕を掴む。
「はぁはぁ…やっと止まった…」
私は一筋の汗の雫を拭う。
次の瞬間、視界が揺れた。
「んっ…」
強く沙耶香に抱き締められる。
顔を肩に乗せられて。
腕を背中に回されて。
そして、小さく呟いた。
「追ってきてくれなかったら、どうしようかと思いました…。」
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