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「えっ…」
私は凍り付いた。
「少しは、好きでいてくれてるってことですよね?」
沙耶香は言葉を重ねる。
「いつも私が追い掛けて、じゃれついて…。先輩がどう思っているのかすごく不安で。」
こんな道端で抱き合っているのに、私には沙耶香の声しか聞こえなかった。
周りの目とか、そういうものが気にならない。
いつもなら、抱きついてきたら突き放してしまうのに…
今はできずにいた。
してはいけないと、心の片隅の思いが告げていた。
「私が想っているほど、先輩は私を想っていないんじゃないかって…。」
「違う!」
私は強く否定した。
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