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空には大きな夕陽が浮かんでいる。
辺りは綺麗なオレンジ色に染まり渡り、優しく輝いている。
私は沙耶香と並んで歩きだす。
互いの気持ちを告げ合ったばかりで、恥ずかしさや照れ臭さがあり、無言で歩く。
数歩歩いたところで、私の左手に沙耶香の右手が滑り込んできた。
優しく手を握られる。
驚いて沙耶香を見る。
「甘いのがいいんでしょ?じゃあ、いいですよね。」
そう言って手を持ち上げ、手の甲に唇を寄せた。
思わぬ行動に顔が紅潮する。
「…いいけど。」
やっぱりぶっきらぼうな態度を取ってしまった。
でも沙耶香はふんわり笑って、手を引っ張って歩きだす。
「何笑ってんの。」
「美朝さん、かわいいなって。」
さっきより夕陽が傾いている。
後ろからは夜の闇が近づいていた。
そろそろ金星が輝きだす。
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