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一口、オレンジジュースを飲み込む音がした。
私は突っ伏したまま薫の言葉を聞いた。
「私は同性愛論者や主義者じゃないけど、人を好きになるのに性別なんて関係ないと思う。その人の中身を見て、その人が好きになって、キスしたい、抱きたい、一緒にいたいと思って…。」
私は机から顔を上げ、言葉を紡ぐ薫の横顔を見上げる。
私の視線に気付かない振りをして、薫はそのまま言葉を続ける。
「それって、自然なことじゃない?」
私は薫を見つめる。
薫は外を見つめる。
思い出したようにオレンジジュースを口に含む。
私はゆっくりと起き上がり、背伸びをした。
机の端で落ちそうになっていたカフェオレを引き寄せる。
指が水滴で濡れた。
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