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「ん?」
立ち上がった薫が窓を閉めながら振り向いた。
「明日さ、マフィン食べたい!」
私は出口まで後向きで歩きながら、薫に頼んだ。
「またぁ?」
呆れ顔の薫が、これみよがしに溜め息を吐く。
私は薫が隣に来るまでドアの前で待った。
「薫のマフィンは最高なんだもん。代わりに明日のオレンジジュース、奢るよ。」
「…安い。」
そう冷たく言い放ちながら、私を化学室から追い出す。
そして、ドアを閉めた。
「明日のお昼も楽しみだねー。」
私は浮かれた気分で、薫と手をつなぐ。
「ちょっ…放してよ。」
「いいじゃん、どうせ教室までなんだし。」
「…わがまま娘。」
手をつないだまま、私と薫は教室までの廊下を歩いていく。
中庭に面した窓は大きく開けられていて、青々とした緑が目に入ってくる。
午後も暑くなりそうだ。
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