あなたがくれたもの

隣の住人

いつも、人間に対してこんな態度だから、仲良い人間なんてごく僅かだ。
なるべく関わりを避け、繋がりを断ってきた。
なぜか？
後で失うなら、初めから持たない方がいいから。
期待なんてしない方が疲れない。
淡々と生きて、淡々と死んでいく。
ｻﾌﾟﾗｲｽﾞとかﾊﾌﾟﾆﾝｸﾞとかｲﾍﾞﾝﾄとか…
煩わしい。

そして、まとわりついてくる人間なんてはるか余計に、

煩わしい以外のなにものでもない。

しかし、伊東はこんな態度を意に介した様子もなく、会えば挨拶をし、話し掛け、時折部屋に訪ねてきた。
普通、煩わしいと感じさせる態度を取れば、その人間は近付いてこなくなった。
なのに伊東は近付いてくる。

本当にこの女は何なんだ。