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でもドアを開けずにいて一晩中叩かれる方が、余程煩わしい。
よりマシだ。
「遅くにすみません…実は。」
玄関で話を終わらせようと、あえて中には上げなかった。
「何。」
早く終わらせようと単刀直入に聞く。
「…今夜、泊めてもらえませんか?」
「嫌。」
「えっ、お願いします!」
「…何で。」
伊東はそこで顔を俯け、言いにくそうに言った。
「部屋の鍵、どこかに落としたみたいで…。部屋に入られないんです。」
その時、ドアを開けたことをひどく後悔した。
せっかくの一人の時間と空間を…。
この女は。
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