隣の住人

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見るものなどない筈なのに、伊東はジロジロと部屋を見回す。 そしてやたらと話し掛けてくる。 「物少ないんですね。」 「その鏡、どこで買ったんですか?お洒落ー。」 「濃い緑が好きな色なんですか?」 「動物のカレンダーなんて、癒されますね。」 詮索する人間も嫌いだ。 うるさい伊東を黙らせようと、冷蔵庫から缶ビールを取出し、伊東に差し出す。 少し意外そうな顔をして、それを受け取った。 「一人で飲んでるんですか?」 普通、聞くか。 質問には答えず、代わりにビールを喉に流し込む。 テーブルを挟んだ向かいで、伊東もビールを飲む。
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