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伊東の質問や話を大方無視し、無言で1缶空け、立ち上がる。
流しに缶を置き、タオルと着替えと歯ブラシを出してきて渡す。
また意外そうな顔で、伊東が受け取る。
「先、使って。」
バスルームを指差しながら言う。
「はい…」
ワンテンポ遅れて伊東が答える。
缶を受け取り、バスルームに追いやる。
きっちり閉まったドアを見て、一息吐く。
空の缶をゴミ箱にカシャリと入れ、冷蔵庫から水を出し、そのまま飲み下す。
やがてシャワーの音がしてきた。
「ありがとうございました。」
湯気を立ち上らせながら伊東が出てくる。
平均的な入浴時間だった。
長風呂する人間も嫌いだから、ここは当てはまらなかった。
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