隣の住人

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眠れない。 隣に誰か別の人間がいるというのは、重苦しい。 仕方なく起き上がり、寝場所をソファに移す。 すると易々と眠りに吸い込まれた。 いつもと違う背中の感触も、少しだけ許せた。 しかし、2時間ほどしたところで、ふと目覚めた。 頭はすっきりと澄んでいる。 ソファから立ち上がり、寝室に向かう。 ベッドは伊東に占領され、気持ち良さそうに眠っていた。 この女は怖くないのか。 何も知らない隣の住人のベッドで、どうしてこう眠れるのか。 この部屋の主人はこっちなのに。 どっちが主人か分からない。 この疎外感と焦燥感も分からない。
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