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ブランケットに包まり、壁にもたれて座り込む。
規則正しい寝息が聞こえる。
夜の帳はまだ下りている。
しばらくそうしていたが、おもむろに立ち上がり、ベランダに顔を出す。
沈みかけの月の片が見えた。
まだ太陽は覗かない。
ベランダから戻り、ゆっくり静かにベッドに近寄る。
そして腰掛け、伊東の寝顔を覗き込んだ。
こんなに無条件で人間を受け入れ、信じ、頼ることは、どうしたらできるだろう。
どうしてするのだろう。
煩わしくないのか。
邪魔ではないのか。
ベッドに両手を付き、顔を伊東に近付けた。
そして、キスをする。
柔らかい唇に触れた途端、何かが外れる音がした。
―《ワタシ ハ コワイ》
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