隣の住人

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薄く口を開けた伊東が、黙って見つめる。 無視して、テーブルにつき朝食を食べる。 レタスの緑はいい。 爽やかだ。 「分かりません…秋留さんが。」 伊東はゆっくり立ち上がった。 そしてその瞳で見つめる。 「…こんな拒絶初めてです。」 最後にそう言い残して、荷物を掴んで出ていった。 トマトの赤は眩しい。 ベーコンエッグの黄色もいい。 少しだけ、煩わしさを忘れられる。 自然は素直だから。 人間みたいな浅ましさとか、欲とか、そんなものを持ち合わせていない。
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