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私は涙が出てきた。
自分の腑甲斐なさ、阿純の優しさに。
涙は後から後から頬を濡らす。
顎先から床へと落ちていく。
「これ以上…一緒にはいられない…。」
ミニバラを撫でながら、私はそう呟いた。
その日の夜。
阿純が帰ってきた時、すでに私はベッドにいた。
…眠ってはいなかったけど。
徹底的に阿純を避けるつもりでいた。
馴れ合いの関係に甘えていたのは私だから。
だから、嫌われて蔑まれるのは、私。
玄関の鍵が締まり、廊下を歩く足音がした。
一度阿純の部屋に行き、それからキッチンに向かったようだ。
食器の音が、静まり返った家に響く。
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