3153人が本棚に入れています
本棚に追加
「これって…」
私は唖然として、その本を見つめた。
「こないだ、お母さんが来て、置いていったやつ。私は見ないと言ったのよ。でも…」
中を阿純が捲る。
大きく引き伸ばされた写真があって、優しい瞳の男性だった。
私はぼんやりと、ドラマと同じなんだな、と考えていた。
「こうなる前兆だったのよね。」
「阿純、あのね、」
「葵は誰がいいと思う?」
「阿純、」
「まぁどれども一緒かなぁ、あっこの人はないな。」
「阿純、ちょっと聞いて、」
「痩せてる方がいいなー。」
「阿純!」
大きめの声を出すと、阿純はびくんと体を震わせ、喋るのと捲るのを止めて、首を竦めた。
そして私を見た。
最初のコメントを投稿しよう!