思い出せない

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阿純の目から涙が零れる。 私は阿純の手に自分の手を重ねた。 「違うの阿純、さっきの《ごめん》はそうじゃない。謝ったの。」 「謝った…?」 オウム返しに阿純が呟く。 私は阿純の涙をそっと舌で絡め取った。 仄かに甘く、酸い。 それは阿純の想いの味。 「私、全然分かってなくて、阿純のこと大切にしてなかった。自分のせいなのに、認めたくなかったから知らないふりしてた。」 瞬きする度に零れる阿純の涙を、優しく吸い取る。 少しずつ阿純の想いが流れ溶け、私と同化していく。 「それで勝手に阿純との関係を終わらせようとした。私が嫌われればいい、蔑まれて離れていけばいい…でも違った。」
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