背中の爪の痕

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「いーよ、負けるわけないけど。」 「ムッカァ!勉強してやる!」 「教えてあげようか?」 「いい!」 つんと顎を上げて、バスに志帆が乗り込む。 くすくす。 あー、強気なとこもいいね。 全然変わんない。 それがいいんだよね。 場所でコロコロ変わるけど、まぁいいよ。 だって志帆だし。 「はいはい。」 笑いを噛み殺しながら、私もバスに乗り込み、志帆の横に座る。 「さぁ、英単語でも覚えましょうか。」 これみよがしに単語カードをちらつかせる。 ちらっと横目で志帆が見てくる。 「さぁ、年号覚えようかな。」 志帆は負けじと参考書を出してくる。
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