はんこのちから

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「柊子、いる物といらない物は分けておいてね?お母さんとお父さんじゃ分からないから。」 「いらないのはどうする?」 「服や本なんかは譲ればいいわ。どうにもできないなら処分しとくわよ?」 「うん、じゃあ分けながら譲れるかも見とくね。別々にしとくから。」 「お願いね。」 慌ただしく、高校卒業後の春が過ぎていく。 私は地元を離れ、他府県の大学に進学することになり、今その引っ越し準備に追われている。 引っ越しは3日後。 馴れ親しんだ実家を離れるのは淋しい。 でも、代わりに果てしない自由を手に入れる。 自由を。 私は紅茶を飲み終え、2階の自室へと上がった。
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