はんこのちから

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*** 「ねぇねぇ、柊子、これ見て!」 「なに、鈴華?」 「じゃーん!」 丸い物体を目の前に突き出し、上機嫌で笑っている。 突き出された面には、“萩野”の文字。 「…はんこ?」 「うん♪」 「でも、何で“萩野”なの?鈴華の名字、“木村”じゃん。」 「んもー、柊子分かってない!」 向かい合わせに座った、鈴華がきらきらした瞳ではんこを見つめる。 両手にそっと包んで。 「…大地くん?」 「そう!」 「何かのおまじない?」 「まぁね。今度から手紙書く時にこれ使うから♪気分は結婚、新婚だから!近付けそうじゃない?」 「…」
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