はんこのちから

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「ねぇねぇ、柊子もやろうよ?」 「えっ?」 「今日帰りに買いに行こ?」 「いいっ!いい、行かない!」 「えー何で!?好きな人いないの?…そう言えば聞いたことない、かも。」 あはは、と私は引きつった笑いを浮かべて、前のめりの鈴華を押し返す。 「は、恥ずかしいから…」 「えー!私だって言ったじゃん。」 「私が言ったじゃん…」 「いいから!ねっ、誰誰?」 「言わない。」 そう言って強く更に押し返して、私は教室の片隅に目をやる。 友達と笑い合う声だけで、私はどきどきしてしまう。 もう、絶対好きだ。 でも、本人にも友達にも誰にも言えない。
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