はんこのちから

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でも、誰にも言えないのってすごく辛い。 私だって女の子だから、好きな人の話で盛り上がりたい。 ときめいた瞬間とか、見惚れた瞬間とか、そういうのをキャアキャア話したい。 ―でも私の好きな人は女の子。 クラスメイト。 同性。 もし話したら奇異な目で見られる。 私は気にしないけど、あの人を巻き込みたくない。 障害だらけの想い。 でも、でも… 欲がある。 鈴華みたいに、名字のはんこを持って恋人気分、結婚気分を味わいたい。 「…やっぱり行く。」 教室の片隅の彼女を見つめながらそう呟いた瞬間、鈴華が勢いよく私に向き直った。
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