はんこのちから

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「そうこなくちゃ!んで、誰が好きなの?ばれちゃうんだし、教えてよ。」 「…安藤。」 「えっ、安藤くん!?」 その頃、クラスには安藤が二人いた。 安藤 瞳と 安藤 啓太。 もちろん私は瞳が好きだった。 でもそんなこと言えなかった。 だから… いろんなことを誤魔化した。 「…」 「柊子、安藤くんが好きなんだー。意外!」 鈴華、ごめん。 嘘、ついてないけど… ごめん。 安藤くんもごめん。 そして、 瞳。 伝えられなくてごめん。 隠してごめん。 「じゃあ、放課後に寄ろうね!」 チャイムが聞こえて、鈴華が去りながら言った。 私はぼんやりしたまま手を振った。
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