はんこのちから

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複雑な心境で受け取り、眺める。 「鈴華、帰ろっか?」 ただのはんこなのにやたらと重く感じられて、私はすぐに店を出た。 家に戻り、自室のベッドに寝転がる。 手には包装を解いた“安藤”のはんこ。 それを月明かりにかざす。 「瞳…」 右手に持直し、ぎゅっと握り締める。 「瞳…」 そうしていると、何だか瞳と繋がっているみたいだった。 「おはよー。」 「おはよー。」 カバンにはんこを忍ばせて、学校に向かった。 なぜかドキドキして、自然と笑みが零れる。 「柊子ー!おはよー!」 元気な鈴華の声がした。
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