はんこのちから

13/16
前へ
/375ページ
次へ
「鈴華おはよ。」 並んで教室に入り、席に着く。 「はんこ、持ってきた?」 「うん。」 「じゃさ、後で手紙回すからそれに押してね。」 「…うん。」 ひらひらと手を振って鈴華は、目ざとく大地くんが入ってきたのを見つけて話し掛けに行った。 するとその後ろから、瞳が入ってくるのが見えた。 心拍数が跳ね上がる。 じっと見つめていたからか、瞳が私を見る。 「柊子、おはよう。」 「…おはよ、瞳。」 もっとその声を聞きたいと思ったが、すぐに別のクラスメイトと話し始めた。 (あー…) 惜し気に見たが、瞳の目には私は映っていなかった。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加