はんこのちから

14/16
前へ
/375ページ
次へ
約束通りに鈴華から回ってきた手紙に真新しい“安藤”のはんこを押す。 手紙の最後に鈴華が、 『安藤くんとうまくいけばいいね!絶対叶うよ☆』 と書いていた。 胸がちくりとした。 朝の陽気な気分はなくなり、鬱陶しい気分になっていた。 皆に分かってほしいわけじゃない。 瞳にだけ、好きだと分かってもらえればいい。 でも、告げる勇気なんてない。 告げたことにより、数少ない挨拶の機会までもを奪われたくない。 その目にさえ映されなくなるのなら… 私はこの気持ちを封印する。 真新しいはんこを持ってきた日に、私は自分の感情を押し込めることにした。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加